NMN臨床試験:安全性と有効性の”最新”動向1,2,3.

NMN臨床試験

NMN臨床試験は、世界中で行われています。

FDA承認に向けたステップ:ヒトでの安全性と有効性の証明

NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)は、老化や代謝関連の疾患に対する治療剤としての可能性が期待されていますが、アメリカ食品医薬品局(FDA)から治療用物質として承認を得るには、「ヒトにおいて安全かつ有効である」ことを臨床試験で示す必要があります。

こうしたNMN臨床試験は、**マウスや培養細胞などで行われる前臨床試験(preclinical studies)**の成果を土台として設計されます。NMNに関しては、これまでに数多くの前臨床研究で、加齢や疾患によって低下するNAD+レベルを補い、健康寿命や長寿に好影響を与えることが示されてきました。

ヒトへの応用に向けた試験開始

前臨床研究の結果を受けて、NMNの効果をヒトで検証する複数の臨床試験が世界各地で進行中、または完了しています。現時点で、少なくとも2件のヒト臨床試験が完了し、安全性と有効性が示唆されています

これらの試験は、大学・研究機関、またはバイオテクノロジー企業によって実施されています。


主な臨床試験の事例

① ワシントン大学医学部による2つの試験

研究者:今井真一郎博士デビッド・シンクレア博士

臨床試験 NCT03151239(完了)

  • 試験名:NMNの心代謝機能への影響
  • 用量:500mg/日、8週間以上
  • 評価内容
    • インスリン感受性(血糖コントロール機能)
    • 血中脂質、体脂肪・肝脂肪量
    • 血液・脂肪組織・筋肉組織における代謝指標
  • 結果:NMNの代謝・心血管機能への正の影響が示唆され、安全性も確認

臨床試験 NCT04571008(実施中、2025年完了予定)

  • 試験名:NMN補充が全身臓器系に及ぼす影響
  • 用量:300mg/日、16週間
  • 特徴:上記試験の補完的研究。長期間・低用量のNMN投与によるインスリン感受性評価を実施

② スイスのバイオ企業 Senesque SA による臨床試験

臨床試験 NCT04685096(完了)

  • 試験名:NMN配合化粧品のアンチエイジング効果
  • 内容:アジア系・アフリカ系の健康な被験者にNMN(2%配合)を含む化粧品を1日2回、28日・56日使用
  • 評価:シワ・たるみ・目のクマなどを皮膚科的にスコア化し比較
  • 結果:NMN配合製品の肌への効果を臨床的に評価

臨床試験 NCT04862338(実施中)

  • 試験名:NMNの薬理作用と耐容性(NMN-C 400mg/日)
  • 評価期間:28日間
  • 内容
    • 血中NAD+濃度の変化(14日後・28日後)
    • 血圧・心拍などの副反応の有無

臨床試験 NCT04664361(実施中)

  • 試験名:中程度運動を行う健康成人におけるNMNの筋回復・体力向上効果
  • 用量:250mg/日 および 500mg/日、38日間
  • 評価項目
    • 筋回復力、持久力、心肺機能
    • 血中乳酸レベル、筋肉痛の主観評価、体組成、NAD+レベル変化

結論:ヒトにおけるNMNの可能性

現在進行中および完了済みの臨床試験は、NMNが人間においても安全に使用可能であり、心代謝機能や筋機能、皮膚健康に対する有効性を持つ可能性を強く示しています。

今後さらに臨床データが蓄積されることで、NMNは医療・予防医療・美容分野において重要なサプリメントや治療素材としての地位を確立する可能性があります。

参考サイト:nmnドットcom