免疫検査(リンパ球FACS検査)で、キラーT細胞、NK細胞、NKT細胞、制御性T細胞等をモニタリング

免疫検査

免疫検査でリンパ球の状態を知る

免疫をアップするとか、免疫を向上させるとか、世の中の免疫検査に対する関心は、新型コロナ感染症の拡大で益々高まっていますが、実は「免疫が高い」ということに対する医学的知見は非常に限定的であるというのが当社の問題意識です。

当社はもともと、がん免疫療法の技術を持ち、がん患者様の免疫状態について関心を持っていた訳ですが、その免疫治療の役に立てばということで、「免疫検査(リンパ球FACS検査)」のご提供をしております。

免疫検査(リンパ球FACS検査)概要

検査検体:血液2ml(EDTA-2K)

検査報告:フルセットの場合

細胞種類 FACS計測値 標準値 リンパ球領域内比率(%)・個数
T細胞 CD3+ 未定 数値
キラーT細胞(CTL) CD3+CD8+ 10%以上 数値
活性化T細胞 CD3+HLA-DR+ 10~20%以上 数値
NK細胞(ナチュラルキラー細胞) CD3-CD56+ 15%以下 数値
活性化NK細胞 CD8+CD56+ 未定 数値
NKT細胞 CD3+CD56+ 未定 数値
制御性T細胞(Treg) CD4+CD25+ 未定 数値
ナイーブT細胞 CD3+CD45RA+CD45RO- 未定 数値
メモリーT細胞 CD3+CD45RA-CD45RO+ 未定 数値

免疫系とは

血液細胞の重要な役割のひとつは、免疫です。免疫は、一言で言えば体を守るためのシステムです。体の外から侵入してきた自分の体にと免疫検査っての異物を排除する働きや、がん細胞に代表される自分の自分の体の中で発生してしまった異常細胞の除去といった重要な働きをしています。白血球には、こうした異物の排除や異常細胞の除去、あるいは異常細胞の発見など、いろいろな働き(機能)を持ったいろいろな種類の細胞からなります。これらの細胞を、免疫細胞と呼ぶことがあります。白血球5分類の中のリンパ球は、免疫系の中心に位置する、免疫系の主役の役割を担う血液細胞です。

例えば、体の中にばい菌(異物)が侵入してきた場合、白血球のうち顆粒球に分類される免疫細胞のひとつである好中球が、こうしたばい菌を自身の中に取り込んで(貪食)殺菌してくれます。生体は常にいろいろな外敵の侵入や攻撃を受けているわけですが、好中球のこうした働きも、病気の発病を抑える仕組みのひとつとして活躍しているわけです。

もうひとつの代表的な免疫の働きに、生体の外から侵入した異物ではなく、自身の体の中で発生した異常な細胞を除去する働きがあります。例えば、体の中にがん細胞ができてしまった場合、リンパ球のひとつであるNK細胞と呼ばれる細胞が、がん細胞に対して攻撃をしかけ、がん細胞を除去するという働きがあります。このNK細胞による刺激によって、がん細胞はアポトーシスと呼ばれる状態に陥ります。アポトーシスは細胞の自殺プログラムと呼ばれる重要な細胞生物学の現象のひとつです。

免疫系の中心はリンパ球

免疫系は大きく分けると、細胞性免疫と体液性免疫の二つに分類することができます。細胞性免疫は、細胞が直接、何らかの機能を発揮して起こる免疫反応を指します。一方の体液性免疫は、細胞から体液中に分泌された抗体やサイトカインなど、可溶性の成分が関与することによって起こる免疫反応であるということができます。

ただし、細胞性、体液性いずれの免疫系も、上流ではリンパ球のひとつであるT細胞の指令を受けています。この意味で、T細胞は免疫系全体の司令官であるということができます。リンパ球のひとつであるT細胞は免疫系の中心におり、免疫系全体のバランスを調整しながら促進や抑制の指令を出しています。T細胞は、持っている機能によってさらに詳細に分類することが可能ですが、そうした亜集団のことをサブセットと呼びます。

リンパ球は1種類ではない

リンパ球は免疫系の中心に位置する非常に重要な細胞ですが、実はリンパ球の中にもさらに機能の異なるさまざまな細胞があります。代表的なものとしてT細胞、B細胞およびNK細胞がありますが、これらの細胞が持つ機能はすべて免疫系に完成したものです。

一方、白血球は大きく5つに分類されます。ところが、先に紹介したようなリンパ球の詳細な分類を行うことはできません。こうした詳細な分類は、見えない細胞表面の目印をフローサイトメトリーとモノクロナール抗体の力で測定して行うことになります。

リンパ球を機能面から細かく分けた亜集団を、リンパ球サブセットと呼びます。例えば、リンパ球サブセットのひとつにT細胞やB細胞があります。このサブセットという言い方は、リンパ球だけでなく、単球や樹状細胞など、他の細胞に対して用いられることもあります。

CDは細胞の目印

細胞には、見た目は同じでも機能の異なるさまざまな細胞があります。フローサイトメトリーではこうした機能の異なる細部を解析できますが、このときに細胞表面に存在する目印を利用します。この目印は目視による携帯観察ではわかりません。例えば、リンパ球サブセットは、その機能に応じて、自身が持っている機能に特異的な目印(分子)を持っており、これら目印の多くはCD番号(CD3、CD4、CD19...など)によって分類されています。CDはCluster of Differentiationの略です。

フローサイトメトリーの基本的なアプリケーションの多くは、CD分子に代表される、こうした細胞表面の目印を検索(細胞機能を調べる)することと言うことができます。ただし、細胞表面の分子はすべてがCD番号を持っているわけではなく、MHCやTCRなど、それぞれに独特の呼び方を持っているものも少なくありません。こうした分子を総称して、non-CD分子(抗体の場合はnon-CD抗体)と呼ぶこともあります。

CDとは細胞表面に発現している機能分子(目印)をクラスター分類して通し番号で整理したもので、これは国際会議HLDAで評価された結果であり、世界共通のナンバリングです。

免疫検査(リンパ球FACS検査)項目解説

キラーT細胞(CD3+CD8+)

自分の体にとって異物(敵)になる細胞(例えば、ウィルス感染細胞、移植細胞、がん細胞など)を認識して排除に働きます。キラーT細胞と呼ばれますが、別名CTL(Cytotoxic T Cell)と呼ばれることが多くなっています。獲得免疫系の主力細胞です。

このキラーT細胞の細胞殺傷能力は大変強力で抗原特異的に作用するのが特徴です。対外から侵入してきた病原体や体内にある異常細胞(細菌、ウィルス、がん細胞、移植細胞など)についての情報を抗原提示細胞(樹状細胞、マクロファージ)から受け取り、それを排除する方向に働くリンパ球。キラーT細胞は、パーフォリンを放出して標的細胞の細胞膜に穴を開け、インターフェロンγを注入することで、細胞のアポトーシス(プログラム死)を誘導します。また、キラーT細胞の一部はメモリーT細胞となって、異物(敵)に対する細胞傷害活性を持ったまま自分の体の中に記憶され、次に同じ異物に暴露された場合に素早く対応できるように備えることが出来ます。

NK細胞(CD3-CD56+)

NKはナチュラル(Natural、自然の)キラー(Killer、殺傷)の略です。特異的・選択的に作用するキラーT細胞と違い、病原体に感染した細胞やがん化した細胞のなどの異常細胞を見つけると、その細胞自体を攻撃して排除する、守備範囲の広い自然免疫系の主力細胞です。ウィルスに感染した細胞や腫瘍細胞と出会うと、それらを殺傷する働きを広範囲に示します。その攻撃力はさほど強くはありませんが、血液中をパトロールして単独で行動します。がんが進行してキラーT細胞の能力が低下しているときに、体内の免疫の力を維持するために増加します。

CD8陽性のNK細胞(CD8+CD56+)

NK細胞由来で、特にサイトカインの刺激等で活性化を受けて細胞傷害活性を高めたNK細胞のことをいいます。

NKT細胞(CD3+CD56+)

NKT細胞はT細胞の一種です。T細胞の中でもT細胞とナチュラルキラー(NK)細胞と両方の特徴を持つ亜群のことを指します。即ち、自然免疫系と獲得免疫系の中間的な役割を担う細胞の一つとして知られています。NKT細胞は、NK細胞やマクロファージの活性化やT細胞の分化など、自然免疫や獲得免疫に関与し抗腫瘍効果を示すサイトカインIFN-γを産生します。NKT細胞が長期の抗腫瘍効果を示すのは免疫記憶機能を獲得できるためと言われており、NKT細胞の不足や機能障害により、自己免疫疾患や癌を引き起こすことが示されています。NKT細胞は迅速なサイトカイン(例えばIL-2、IFN-γ、TNF-α、IL-4など)の分泌を行うことができ、これにより様々な免疫機能を活性化したり、逆に抑制したりすることができるため、今後の臨床応用の可能性があると言われています。

活性化T細胞(CD3+HLA-DR+)

この細胞の比率上昇は体内での免疫が活性化している状況を示唆します。

制御性Tリンパ球(CD4+CD25+)

免疫系における恒常性の維持においては、免疫制御機能に特化した細胞系譜である制御性T細胞が重要です。1995年京都大学の坂口志文らにより、インターロイキン2受容体α鎖であるCD25分子を発現するT細胞が、自己免疫疾患を抑制する機能を有することが明らかにされ、このCD4+CD25+T細胞は抑制性T細胞の中でも区別して「CD4+CD25+Treg」と呼ばれるようになりました。また、重要な特徴として、転写因子Foxp3を特異的に発現しており、Foxp3の欠損或は突然変異により制御性T細胞の発生及び分化、制御機能が障害されることが確認されたことからTreg分化のマスター遺伝子であることが明らかにされ、現在研究が進んでいます。この細胞は、免疫反応を抑制する働きがあることからRegulatory T細胞と呼ばれ、そこからTregという名前がつけれられています。Tregの数か多いとがん細胞を殺傷するキラーT細胞の働きを抑えます。逆にTregの数が大きく減少すると、アレルギーや自己免疫疾患が促進すると考えられます。体内の免疫が過剰にならないように、また低下し過ぎないように調節している細胞集団と考えられています。

本検査では、検査実施が容易なCD4+CD25+Tregに着目して、NKキラー細胞とのバランス比を独自に設定して免疫状況を評価しています。

ナイーブT細胞(CD3+CD45RA+CD45RO-)

病原体などの抗原細胞に出会ったことのないT細胞群のこと。細胞は休止期の状態にあります。新しい病原体に感染した時、このナイーブT細胞の中で、新しい病原体の抗原に対するT細胞が増殖し、機能的に分化して新しい病原体に対抗するようになります。この亜集団の数が多いと、新しい病原体への対応が能率よく行われると考えられています。加齢を共に減少する傾向があります。

メモリーT細胞(CD3+CD45RA-CD45RO+)

病原体などの抗原物質に一度出会ったT細胞は、分裂増殖した後、一部がメモリーT細胞として残ります。メモリーT細胞は2度目以降に同じ抗原に出会うと、直ちに反応し、分裂増殖し、生体防御としての役割を迅速に果たします。加齢と共に増加する傾向があります。

 

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